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農林水産省の元事務次官が長男を殺害した罪に問われた事件の判決で、東京地方裁判所は、「長男の暴力について警察などに相談せず同居からわずか1週間で殺害した経緯には短絡的な面がある」として懲役6年を言い渡しました。一方で、判決は「長男からの暴行で恐怖を感じたことが背景にあることは否定できない」とも指摘しました。
裁判では、長男による家庭内暴力など事件のいきさつを踏まえて、情状酌量がどの程度認められるかが争点となり、検察が懲役8年を求刑した一方、弁護側は執行猶予の付いた判決を求めました。
16日の判決で、東京地方裁判所の中山大行裁判長は「『長男に殺されるという恐怖から刺した』とする被告の供述は信用性に乏しく、ほぼ一方的に攻撃を加えたと認められ、強固な殺意に基づく危険な犯行だ。主治医や警察に相談できたのに相談することなく、同居してわずか1週間で殺害を決意して実行した経緯には短絡的な面がある」と指摘しました。
その一方で、「被告が長年、長男と別居しながらも月に1回程度、主治医に状況を伝え、長男に薬を届け、たまったゴミを片づけるなど安定した関係を築く努力をしてきた。同居を始めた翌日に初めて長男から暴行を受けて恐怖を感じ、対応に不安を感じる状況になったという事情が背景にあることは否定できず、この点はそれなりに考慮すべきだ」としました。
そのうえで「子を殺害した同じような事件の中では執行猶予を付けるべきではないが、重い実刑にすべきとはいえない」として懲役6年を言い渡しました。
被告 うなずきながら判決内容を聞く
熊澤被告は、スーツとネクタイを身につけてややうつむきながら法廷に入ったあと、裁判長から法廷の中央にある証言台の前のいすに座るよう促されました。
裁判長のことばを聞きながら被告は内容を確認するようにしっかりとうなずいていました。
検察官「お体に気をつけて下さい」
言い渡しが終わり、被告が裁判長と弁護士、それに検察官に一礼して法廷をあとにしようとした際、検察官から「お体に気をつけて下さい」と声をかけられていました。
元裁判官「実刑は妥当」
また、「家庭内暴力があったことは確かなので、検察官も、この事件の特色を考えて求刑段階で軽くしたと考えられる。家庭内の問題であっても警察や医者など、外部の機関に助けを求めるなど穏やかな手段で解決してほしかった」と話していました。
家庭内暴力の支援団体は…
そして、午後3時すぎに判決の内容が速報されると、インターネットのニュースサイトですぐに確認していました。
この団体は、10年ほど前から、発達障害や家庭内暴力、それにひきこもりなどの問題で悩んでいる人たちの自立支援に取り組んでいます。
これまで相談を受けてきたケースの中には、今回の事件のように「自分の子どもに殺されるかもしれない」という不安を抱えた親からの相談も少なくなく、ことし6月に今回の事件が発生した直後には、「事件の報道を見て自分も不安になった」という親などから1日に10件以上相談が寄せられたということです。
NPO法人「太陽の輪」の高橋陽子代表理事は、「発達障害は今は身近な問題で、どこでも起こり得るものだが、自分の子どもが問題を抱えていることを知られることを恐れ相談しようとしない人が多い。しかし、こうした問題は家族の中だけでは解決せず、第三者が入らないと状況が変わらないものだ。これまで支援してきた人の中には、『もっと早く相談してくれればこんなに苦しまなくて済んだのに』と思う人もたくさんいた。われわれのような支援団体はオープンに相談を受け付けているので、同じような事件が繰り返されないためにもまずは気軽に相談してほしい」と話していました。
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiPmh0dHBzOi8vd3d3My5uaGsub3IuanAvbmV3cy9odG1sLzIwMTkxMjE2L2sxMDAxMjIxNjg3MTAwMC5odG1s0gFCaHR0cHM6Ly93d3czLm5oay5vci5qcC9uZXdzL2h0bWwvMjAxOTEyMTYvYW1wL2sxMDAxMjIxNjg3MTAwMC5odG1s?oc=5
2019-12-16 08:27:00Z
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