「週刊ベースボール9月14日号」で、ヤクルト・清水昇のインタビューを担当した。特集テーマは「勝利の方程式」で、8回のマウンドを守る2年目右腕に、セットアッパーとしての考え方などを聞くためだった。
正直に言って、インタビュー前は少し不安だった。清水のイメージは「あまりしゃべらない」だったからだ。ヤクルトのルーキーには、毎年選手名鑑に掲載するための趣味などを聞くために軽いインタビューを行っているのだが、その当時の印象があった。「これまでの野球人生、アマチュア時代の思い出」を問うたとき、清水は「特にないです」と小さな声で答えた。しかし何かしら聞き出さなければ、選手名鑑が埋まらない。「小さいころにお父さんとキャッチボールしたこととか、寮のご飯がおいしかったとか、そういうことでもいいので、何かないですか」と言うと、「えー……。(帝京)高校を卒業して、(国学院)大学に入ったとき、先輩たちの体がすごく大きくて、それに驚いたこと……ですかね」と、侍ジャパンの大学代表にも選ばれたドラ1右腕は言った。少々拍子抜けする回答だったが、このころから、肝の座り方は抜きんでていたのだと思う。
ルーキーイヤーの昨季は、戦力となれなかったものの、今や抜群の安定感でセットアッパーに君臨している。その成長速度には目を見張るものがあるが、インタビューの受け答えも、まるで別人のようだった。よく聞き、よく話し、よく笑う。
「抑えたらうれしいし、打たれたら悔しいし、僕はそれが表に出てしまうんですよね」
清水といえば、マウンド上でのガッツポーズ。屈託なく話す清水の純粋さは、何事も経験に変えるスポンジのような吸収力となり、正直な闘志となり、しっかりとボールに伝わっているのだと、そう感じた取材だった。
文=依田真衣子 写真=BBM
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September 13, 2020 at 09:02AM
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