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今週の気持ち:今週の気持ちは「ある夜の出来事」 - 毎日新聞 - 毎日新聞

 「女・男の気持ち」(2020年11月12~18日、東京・大阪・西部3本社版計21本)から選んだ「今週の気持ち」は、東京本社版11月18日掲載の投稿です。

  ◆  ◆

<今週の気持ち>

ある夜の出来事 岐阜市・山田佳美さん(ピアノ教師・49歳)

 命綱のようにスマホを握ったまま右往左往。なぜか全身が冷えてきて、身を縮めた。まだ日中は暑いくらいの10月半ばのことである。

 大阪に住む76歳の母へは、毎日電話をかける。声を聞けば安心なのだ。だが、この日の母は「急に足が痛んで」とため息をつき、「でも、たいしたことないのよ」と言って切ってしまった。

 どうも気になり、夜の10時にかけてみる。出ない。何度試しても同じだ。ウェブ会議で別室にいた夫も「会議の前、お母さんに電話したけどつながらなかった」と言う。変事である。迷った末、実家近くの警察へ連絡すると、カギを壊して入っていいか確認された後「20分で状況を伝えます」と言ってくださった。

 夫は車を出す準備を始めた。スマホが光る。「母は?」

 母は2階の部屋で眠っていた。足が痛く、疲れたので早めに休もうと2階へ。スマホを1階に忘れたが、明日でいいやと思ったらしい。固定電話は母のスマホに転送される仕組みで、2階の電話は鳴らなかったのだ。「申し訳ありません」と繰り返す私に警察官は「無事でよかった」とさわやかに返してくれた。

 今年初めに父を亡くした。母まで……と悪い想像をし、いくら打ち消しても恐ろしさが足元からわき立つようだった。申し訳ない気持ちとともに、「よかった」と涙がこぼれた。

  ◆  ◆

<担当記者より>

 山田さんのように焦ってヒヤヒヤし、安堵(あんど)した経験は、高齢の親が遠方に住む人にとっては「あるある」かもしれません。担当記者も数年前、故郷に住む独り暮らしの母と一時、連絡が取れなくなり、仕事どころではなくなった経験があります。

 今回、山田さんは警察の助けを借りて安否確認をすることができました。娘さんからの要請とはいえ深夜、寝室に屈強そうな男性警察官が3人も入ってきて、お母さまはさぞ驚かれたことでしょう。実家にはパトカーだけでなく救急車も駆けつけ「さすがに母も懲りたようです」と話していました。固定電話は、呼び出し音を1度鳴らしてからスマホに転送するよう設定を変えたそうです。

 コロナ禍の中、近くに住んでいても思うように肉親と会えない状態が続く人は少なくないでしょう。安否確認の方法を、この機会に再確認してはいかがでしょうか。みなさんからのコメントもお待ちしています。コメントはこちらからどうぞ

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November 19, 2020 at 12:24PM
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