台風15号の影響よる停電が長引き、生活に支障が出ている原因は?
9月9日朝にかけて首都圏を直撃した台風15号の影響で、千葉県内を中心にいまだに大規模な停電や断水が続いている。この事態は防げなかったのか、関係機関の対応に問題はなかったのかという議論も各方面で盛んになっている。
こうした中、菅官房長官は、13日午前の記者会見で、有事の際に首相官邸内に設置されてきた非常災害対策本部の会議が今回は開催されていないという指摘に対し、次のように答えた。
「今回の豪雨災害への対策については、大雨となる前から災害発生後にかけて、迅速かつ適切に行ったと考えております」
政府の対応に落ち度はないことを強調した形だ。
自民党の委員会では、千葉県や東電の対応がやり玉に
一方、同じころ自民党本部では、緊急の災害対策特別委員会が開かれ、千葉県選出の議員らを中心に、関係省庁や東京電力から、被害状況や対応方針についてのヒアリングが行われていた。
会合の冒頭、内閣府をはじめ政府の関係省庁から最新の被害状況が報告されたが、出席議員からは矢継ぎ早に、千葉県庁をはじめとする自治体の危機管理体制が万全でなかったとの指摘が相次いだ。
「千葉県庁の情報収集体制は一元化されているのか」
「油断やぬかりがあったことが初動の遅れにつながったのでは」
そして、会合で多くの時間が割かれたのは、依然として続く大規模停電の問題だ。
東京電力が公表した予定日に復旧が間に合っていないことについて厳しい声が飛び交った。
「正確に発信しなかったことで、より混乱が生じた」
「大規模停電の前例があるのになぜ2、3日で復旧できると思ったのか」
今村雅弘委員長も、「一刻も早い復旧をという気持ちが強かったことが、(早めの復旧予測の)表現に出てしまったのではないか」と同情しつつも、「相対的に見れば、甘かったということだ」と断じた。
さらに「台風が来るとわかっていたなら、事前に電源車を用意しておくべきだった」と準備不足を指摘する声に対して、東電側は「台風の進路が確定しなかったため、確保できなかった」「今後検証を行う」と回答するにとどまった。
議員たちからは国の対応を促す声も
しかし電気が復旧しないことには、日常生活が困難なだけでなく、必要な情報を十分に手に入れることもできず、さらには自治体同士の連携もままならないままだ。こうした現状を目の当たりにしている議員らからは、政府のより積極的な対応を求める声も出た。
「市民の生活は限界に達してきている」
「国が支え、早急に対応してほしい」
「しっかりやらないと、同じような災害が起こった時にもまた後手後手になってしまう」
会合では他にも、道を塞ぎ復旧活動を妨げている倒木の処理や、農業被害への対応、給水車や入浴支援の問題についても議論が交わされた。
今村委員長は「元が絶たれればすべてだめになり、負の連鎖になる。今後はそういったことをふまえて対応しなければならない」と総括した。
対応に問題があったのは自治体?東電?政府?
この会合では、自民党の批判の矛先は、政府よりも県や東電に向かった。
一方で、7月末から頻発した北朝鮮によるミサイル発射をめぐっては、政府がNSC=国家安全保障会議を開催しない中で、自民党は対策本部役員会を開き、二階幹事長が政府の対応について「差し迫る危機感を傍観している」と厳しく批判した経緯がある。
災害も含め有事やトラブルがあった際に、政府や自治体、関係機関の対応の調整やサポートを行ったり、対応を検証するのは与党の大きな役割だ。そして時に、半分身内でもある政府に厳しい指摘を行うのも自民党の存在意義の1つだ。
今村委員長が、「まず第一に、復旧・救護に全力を挙げてほしい」と会合をしめ括ったとおり、現場の復旧が最優先だが、停電などが収束した後には、政府、自治体、東電、それぞれの対応について、改めて冷静な検証が必要になるかもしれない。
2019-09-15 09:30:00Z
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